昔むかし。世界には人間がたくさんいた。
喜びもあったが、争いもより多く地にあふれていた。
ある日、全ての人間の上に「大いなる災い」が降り注いだ。
しかしそれは、神の怒りではなく、地上からあふれて天に昇った憎しみを、人間が自ら浴びたにすぎなかった・・・

これは、かつての人間が抱いた悲しみと戒めのお伽話。

「大いなる災い」が降り注いだのち、ある男が「武器を捨てよう」と語りかけた。
自らの将来に想いを馳せ、暗澹たる考えに及んだ者達が、次々に男の呼びかけに同意し、武器を手放していった。
武器を捨てた者達は、世界の復興をめざし、手に余る科学技術を封印し、管理するようになった。
そして、一番最初に呼びかけを行った男は、法王と呼ばれるようになり、世界を導く言葉を発する者となった・・・

辺境の山間に住む村娘・ルフナは、祖父の死をきっかけに、祖父の夢を知る。
既に人々の記憶から遠く離れた「大いなる災い」(世界戦争)で民衆の手から奪われた「茶」。残されていた日記には、民衆が茶を飲んで微笑む姿を見てみたい、とかかれていた。
祖父は自分の持っていた苗木で栽培を成功させてはいたが、その苗は病に弱かった。戦争で弱った大地に茶畑を増やしていくには、同じ夢を抱いて野に下ったかつての友──「彼」が持っていた、病に強い苗との交配が不可欠と考えていたのだ。
しかし、夢を自分のものと割り切っていた祖父は夢の達成を子供や孫に押し付けなかった。それ故か、「彼」の名前すら日記には記載していなかった。
日記から得られた手がかりは少なかったが、幼馴染のセインの制止をふりきり、ルフナは男装し、セインのつけてくれたボディーガード?猫型もののけのミントと一緒に「彼」を探す旅にでる。

「大いなる災い」以来、封印されていた禁断のテクノロジー。憂いをもって世界の平和を静かに祈る法王。法王警護機関、「聖騎士団(ナイツ)」。政治的実権を握るべく権力争いを続け、法王を利用しようとする貴族達。謎の暗躍を続ける「世界通商管理機構(ギルド)」。

少女の夢は、世界の思惑とからまり、薄氷の如く危うき「平和主義」のゆがみを露呈してゆく……

平和への祈りは通じるのか・・・それとも世界は再び争いをめざすのか。